患者さんからお預かりした受精卵を保存する培養室には、受精卵の培養を行う培養器(インキュベーター)やクリーンベンチなど電源によって動作する装置が多く設置されています。大切な卵を守るため、また患者さんにも安心して来院いただくためには、停電対策が欠かせません。
ここでは、停電によるトラブル事例を基に、停電対策に有効な医療用蓄電池についてご紹介しています。
培養室が停電したら、どうなる?
- 培養器(インキュベーター)などの装置が動作しなくなってしまう
- 培養器(インキュベーター)が使えない場合は、患者さんにとって不本意なタイミングで胚を凍結しなければならない
実際に起きた停電トラブル事例
燃料の確保が困難になることを想定していませんでした
東日本大震災発生時、停電とともに自家発電が作動しました。軽油は満タンで50リットル、6時間稼働可能で、軽油を補充さえすれば何時間でも稼働できる想定でした…が、燃料の予備はビルの安全管理上用意しておらず、スタンドは行列。燃料の確保は非常に困難でした。
また、軽油の補充は業者が対応しており、スタッフの立ち合いもしていなかったため、だれも補充方法を把握しておりませんでした。業者にも連絡しましたが、混乱のためなかなか繋がらず…。
燃料確保が困難だったため、30台あったインキュベータのうち、最も重要な6台に絞って稼働させました。そして、なんとか購入できた軽油を、ビル責任者の手もかりながら、地震発生当日から翌日にかけて計3回の補充しましたが、電力回復の見通しが立たず…。お預かりしている胚をすべて凍結保存し、すべてのインキュベータの電源を切りました。
受精卵を緊急で凍結保存することに
2011年3月11日の東日本大震災の際、5日間の長期停電を経験しました。自家発電装置はきちんと稼働したものの、電気やガスの供給が途絶え、交通機関も動かず…。軽油の調達は非常に困難な状態で、培養室への電気供給を止めざるを得ませんでした。
お預かりしていた受精卵を緊急で凍結保存しましたが、幸い、その影響は現状見られていません。
震災を経験し、安全対策への重要さを再認識させられました。
東日本大震災の影響についてのアンケート調査結果
日本生殖医学会が実施した「東日本大震災による生殖補助医療登録施設の被害状況緊急調査」によると、アンケートに回答した243施設のうち、78施設で電源供給の停止があったそうです。そのうち緊急電源を設けていたのは65施設。しかし、緊急電源を設けていたものの、停電が長時間に及んだため「予備電源での対応が困難」「発電燃料の枯渇」といった事例もあり、電源供給停止の直接的な影響を免れたのは78施設中58施設に留まりました。
また、「胚・卵子喪失あり」と答えたのは243施設のうち12施設。うち3施設は、培養中に長時間にわたって電源供給が遮断されたため、胚に影響が出てしまったそうです。
これらの被害状況から、ART施設において震災時の電源確保が非常に重要な課題であることがうかがえます。実際に日本生殖医学会が行った「東日本大震災による生殖補助医療登録施設の被害状況第二回調査」では217施設のうち70施設が、「緊急電源確保のための対策を新たに導入した」と回答しています。
培養室に必要な停電対策とは?
地震や落雷などの影響で停電が発生しても、患者さんからお預かりした受精卵を守ることができる環境を整えなくてはなりません。
万が一のときは胚を凍結保存するという手段もありますが、不本意なタイミングでの凍結は、クリニックスタッフや患者さんにとっても避けたいものでしょう。培養液や容器が改善され、凍結融解後の胚の生存率は95%前後と進歩しているのもの、凍結・融解の際に胚がダメージを受けてしまう可能性はゼロではありません。
そのため、通常電力が遮断されても設備を維持できるバックアップ体制が必要です。
非常用電源・UPS・蓄電池を比較
いざというときに役に立つ停電対策は?
災害時の停電対策としては、非常用自家発電装置・UPS(無停電電源装置)・医療用蓄電池の3つが挙げられます。 それぞれのメリット、デメリットをまとめてみました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
非常用自家発電装置 | 電力供給が途絶えても 長時間に渡って予備電源として稼働 |
起動まで10数秒間電力供給が途絶える。点検を怠り、災害時に起動しなかった実例も…。 |
UPS (無停電電源装置) |
電力供給が途絶えても 無瞬断で非常用電源に供給できる |
医療機械を安全にシャットダウンするための機器で、10分程度しか電力供給が持たない |
医療用蓄電池 | 電力供給が途絶えても 無瞬断かつ30時間程度の稼働が可能 |
機器を購入する場合、 初期費用がやや高額(300万円程度) |
メリット | デメリット | |
---|---|---|
非常用自家発電装置 | 電力供給が途絶えても 長時間に渡って予備電源として稼働 |
起動まで10数秒間電力供給が途絶える。点検を怠り、災害時に起動しなかった実例も…。 |
UPS (無停電電源装置) |
電力供給が途絶えても 無瞬断で非常用電源に供給できる |
医療機械を安全にシャットダウンするための機器で、10分程度しか電力供給が持たない |
医療用蓄電池 | 電力供給が途絶えても 無瞬断かつ30時間程度の稼働が可能 |
機器を購入する場合、 初期費用がやや高額(300万円程度) |
株式会社ナユタ
「止まらない医療」の実現なら医療用蓄電池の導入を
受精卵の培養を行う培養器(インキュベーター)は電源によって動作しており、電気の供給が停止すると培養器内の環境を維持することができなくなってしまいます。
また受精卵の培養は2~6日間ほど行われます。非常用電源を導入していても6日間分の電源がなければ、受精卵を凍結保存せざるを得ません。
そのため、電力の供給が復旧するまでのバックアップとして医療用蓄電池を用意しておくのがおすすめです。
医療用蓄電池の導入には初期費用が高額ですが、非常用電源のトラブルや電力の保持時間が短いUPSの弱点を補うことができます。さらに安心・安全を追求するなら、電気製品の安全性が確認されているS-JQA認証製品「レムリア」がおすすめです。
下記では、そのレムリアの詳細について紹介しています。月額11万円(税込)のレンタルも可能ですので、まずは実際に使用し、導入について検討できます。
医療用蓄電池「LEMURIA(レムリア)」
当メディアを運営する編集チームが止まらない医療を実現する医療蓄電池として注目したのは、ナユタの「LEMURIA(レムリア)」。
「国内初のS-JQA認証リチウムイオン蓄電装置」「33時間使用可能」「外気ファンの無い構造で故障リスクが低く、メンテナンスも手間いらず」というという特長を持ち、医療現場や介護施設で抱えている課題を解決しうる製品として、ピックアップしました。公式HPページでは商品の詳細やスペックを紹介しています。
医療用蓄電池「LEMURIA(レムリア)」
当メディアを運営する「Chiku-MEDI」編集チームが「止まらない医療」を実現する
医療用蓄電池として注目したのは、株式会社ナユタが提供する「LEMURIA(レムリア)」です。
- 厳格な医療機器規格「JIS T0601-1」を取得
- 品質保証の「S-JQA認証」を受けたリチウムイオン蓄電装置
- 33時間の使用可能※(1台で消費電力100Wの場合)
- 外気ファンがない構造で、故障リスクが低く、手入れも簡単
- 様々な医療機器に接続が可能
- キャスター付きで移動も楽々
レンタル費用 | 月額 11 万円(税込) |
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という特徴を持ち、医療現場や介護施設、老人ホームや在宅医療で抱えている課題を解決しうる製品として、ピックアップしました。
下記のページでは詳細や価格、事例なども紹介しています。
※環境によって変化する場合があります。